

キレンゲショウマ(黄蓮華升麻)の育て方|8月の茶花に使える開花時期と水揚げ
キレンゲショウマ(黄蓮華升麻)は、7月下旬から9月ごろに咲く夏から初秋の茶花です。 明るい半日陰で、根元を乾かしすぎないようにすると、庭でも育てられます。 茶席では、下向きに咲く黄花を一枝だけ使うと、暑さの残る時期に山の気配が出ます。
「キレンゲショウマは茶花に使えるのか」「日陰の庭でも育つのか」「大きな葉をどう整理して花入に入れるのか」。 気になるのは、このあたりではないでしょうか。 ここでは、キレンゲショウマの育て方、開花時期、水揚げ、茶席での使い方を、山野草として扱う目線でまとめます。
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キレンゲショウマ(黄蓮華升麻)はどんな茶花?

キレンゲショウマは、アジサイ科キレンゲショウマ属の多年草です。学名は *Kirengeshoma palmata* といいます。 黄色く厚みのある花を、茎の先でやや下向きに咲かせます。葉は大きく、手のひらのように浅く裂ける形です。花だけでなく、葉の広がりと茎の高さも見どころになります。
山地の渓谷沿いの林内や、湿った岩上・岩礫地に生える植物です。環境省の第5次レッドリストでは絶滅危惧Ⅱ類に区分されています。自生地の株を採るのではなく、園芸店で流通する苗を育てて使ってください。
茶花としては、黄色が強く見えやすい花です。花数を増やすより、蕾を含む一枝にして、下向きの花と葉の線を見せる方が落ち着きます。夏の終わりに、涼しい山の空気を思わせる花材です。
- 学名:*Kirengeshoma palmata*
- 分類:アジサイ科キレンゲショウマ属
- 別名:黄蓮華升麻、キレンゲショウマ
- 花期:7月下旬から9月ごろ
- 草丈:80cmから120cmほど
- 性質:宿根草、多年草
- 花色:黄
名前に「レンゲショウマ」とありますが、レンゲショウマとは別の植物です。キレンゲショウマは一属一種とされ、太い草姿と黄色の筒形の花に個性があります。
キレンゲショウマ(黄蓮華升麻)の育て方

キレンゲショウマの育て方では、夏の強い直射日光を避け、土の乾きすぎを防ぐことが中心になります。暗すぎる日陰では花つきが弱くなりやすく、乾きやすい日向では葉が傷みます。
庭の北東側、落葉樹の下、建物の明るい陰などが候補です。風がまったく通らない場所より、湿り気は保ちながら空気が動く場所を選んでください。
置き場所
明るい半日陰を選びます。夏の午後に直射日光が長く当たる場所は避けてください。朝だけ日が当たり、午後は木漏れ日になる場所なら管理しやすくなります。
庭植えでは、低い場所に植えて水を溜めるのではなく、腐葉土を入れた土で湿り気を保ちます。鉢植えは、夏に鉢の側面が熱くなりにくい場所へ置き、受け皿に水を溜めたままにしないようにしてください。
用土
腐葉土などの有機質を含み、水もちと水はけの両方がある土に植えます。市販の山野草用培養土でも育てられます。鉢植えなら、赤玉土と腐葉土を中心に、鉢底から水が抜ける配合にすると扱いやすくなります。
粘土質で水が抜けにくい庭では、植える場所を少し高くし、腐葉土や軽石を混ぜてください。反対に砂質で乾きやすい場所では、腐葉土を足して水もちを補います。
水やり
鉢植えは、土の表面が乾き始めたらたっぷり水を与えます。夏は朝に土を見て、水切れさせないようにしてください。大きな葉がしおれるまで待つと、花の時期に株が弱りやすくなります。
庭植えは、根づいた後なら雨に任せられることもあります。ただし、雨が少なく土の中まで乾く時は水を補います。渓谷沿いの林内に生える性質を考え、極端に乾かさないことを優先しましょう。
肥料
植えつけ時に緩効性肥料を少量入れ、芽出し前や花後に株の様子を見ながら控えめに補います。肥料を多く与えれば花がよくなるとは限りません。葉が大きく茂りすぎると、茶花として切る時に姿を選びにくくなります。
株を太らせるより、毎年無理なく芽を出し、傷みのない葉を保つことを目標にしてください。鉢植えで生育が弱い時だけ、薄い液肥を少量使う程度で十分です。
植え替えと株分け
鉢植えで根が回り、水やりのたびにすぐ乾くようになったら、芽が動く前に植え替えます。古い土を無理に全部落とさず、根を傷めないように一回り大きい鉢へ移してください。
株分けは、芽が見える状態を確認してから行います。細かく分けすぎると回復に時間がかかるため、茶花用に育てる株は大きく分けず、数年かけて充実させる方が扱いやすいでしょう。
キレンゲショウマ(黄蓮華升麻)の開花時期

キレンゲショウマの開花時期は、7月下旬から9月ごろです。標高や気温、生育環境で前後します。山地では夏の終わりに咲き、平地の栽培では8月ごろから見頃になることがあります。
8月の茶席では、厚みのある黄色の花が夏の終わりを知らせます。9月に入ると、同じ黄色でも真夏の花とは違い、山野草らしい静けさが出ます。
茶席に使うなら、蕾がふくらみ、花が一つ開きかけた頃が目安です。開ききった花をいくつも付けた枝は、花の重さが前に出ます。葉も大きいため、花数と葉数を少し整理してから使ってください。
花期の直前は、蕾の付き方を毎日見ておくと選びやすくなります。下を向く花なので、床の間で正面から見える向きを、切る前に確認しておきましょう。
キレンゲショウマ(黄蓮華升麻)の水揚げ方法

キレンゲショウマを茶花として切る時は、採花後すぐに水へ入れ、大きな葉を残しすぎないことが基本です。山野草は特別な処理を試すより、傷みのない枝を朝に切り、切り口を新しくして水を上げる方が安定します。
葉が大きい枝は、水分を失いやすくなります。茶席で見せたい葉を一枚か二枚に絞ると、水揚げと見え方の両方を整えやすくなります。
水揚げの手順
- 朝、蕾か咲き始めの花が付いた枝を選びます。
- 花入に使う長さより少し長めに切ります。
- 水に浸かる葉と、傷んだ下葉を外します。
- 清潔な水の中で茎を斜めに切り戻します。
- 深めの水に入れ、涼しい場所でしばらく休ませます。
- 花入に入れる前に、下向きの花が見える向きへ整えます。
切った枝を日向に置いたままにしないでください。花入に入れる水も、濁り始めたら替えます。葉が下がってきた枝は、無理に長く使わず、茎を少し短くして水面までの距離を減らすと扱いやすくなります。
茶席でのキレンゲショウマ(黄蓮華升麻)の使い方

キレンゲショウマは、下向きの黄色い花と大きな葉をどう見せるかがポイントです。花を上向きに直そうとせず、自然に少し下を向く姿を生かしてください。
一枝に花を一つか二つ、蕾を一つほど残すと、花の厚みが強くなりすぎません。葉は一枚か二枚に整理し、花の下に少し残します。葉を全部外すと、黄色い花だけが浮いて見えることがあります。
器の口元から花までを長く取りすぎず、枝を少し低めに据えると、下向きの花を見やすくできます。床の間で花の正面が見えない時は、枝をわずかに振って調整してください。
合わせやすい花入
- 籠花入
- 竹の一重切
- 焼締の花入
- 古銅の花入
- 口の広すぎない備前や信楽の花入
籠や竹では、林の中にあるような軽さが出ます。焼締や古銅の花入では、黄色が浮きすぎず、葉の濃い緑も受け止められます。
同じ花入に別の花を多く足すより、キレンゲショウマだけで使う方がまとまりやすい花材です。添えるなら、細いシダや草ものを少量にして、葉の大きさと競合させないようにしてください。
キレンゲショウマ(黄蓮華升麻)に似た花との違い

キレンゲショウマは、名前の近いレンゲショウマや、夏の半日陰で育てるギボウシと取り違えられることがあります。茶花として選ぶ時は、花の形、葉の大きさ、咲く向きを見てください。
| 比較項目 | キレンゲショウマ | レンゲショウマ | ギボウシ | ホタルブクロ |
|---|---|---|---|---|
| 花の形 | 厚みのある黄色い筒形で下向き | 白から淡紫色の繊細な花 | 漏斗形から筒形の花 | 釣鐘形の花 |
| 葉の印象 | 大きく掌状に浅裂する | 深く裂けた葉 | 幅広い葉が根元から出る | 茎に葉が付く |
| 主な花期 | 7月下旬から9月ごろ | 7月から8月ごろ | 初夏から夏 | 5月から7月ごろ |
| 茶席での印象 | 山の陰りと晩夏の黄花 | 夏の涼やかな山野草 | 葉姿を見せる庭の花 | 素朴な野の花 |
レンゲショウマは、キレンゲショウマと名前が似ていますが別の科の植物です。花の色も形も違うため、黄色の筒形の花と大きな掌状の葉を目印にしてください。
ギボウシは半日陰の庭で育てやすい一方、葉の存在感が強い植物です。花の形を主役にしたい時はキレンゲショウマ、葉姿を見せたい時はギボウシというように、使い分けると分かりやすくなります。
夏から初秋の茶花として一緒に使いやすい花

キレンゲショウマと同じ頃に咲く茶花を知っておくと、花入の候補を季節に合わせて選びやすくなります。キレンゲショウマの黄色が強く感じる日は、無理にほかの花を足さず、別の日の候補として考えてください。
夏から初秋の茶花をまとめて見たい場合は、茶花の開花期一覧も参考になります。
まとめ

キレンゲショウマ(黄蓮華升麻)は、7月下旬から9月ごろに咲く夏から初秋の茶花です。山地の湿った林内に生える性質があるため、庭では明るい半日陰と、乾かしすぎない土を用意すると育てやすくなります。
切り花にする時は、朝に採り、水の中で切り戻して深水で休ませてください。大きな葉を残しすぎず、花入で見せたい葉だけを選ぶと水揚げも整えやすくなります。
茶席では、下向きに咲く黄色の花を一枝だけ使い、蕾と葉を少し残すと落ち着きます。花数ではなく、山野草らしい枝の線と、花のまわりの余白で季節を伝える茶花です。


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