

センニンソウ(仙人草)の育て方|8月・9月の茶花に使える開花時期と水揚げ
センニンソウは、8月から9月ごろに香りのある白い小花を咲かせる、晩夏から初秋の茶花です。 日なたから半日陰で育ちますが、つるの勢いが強いため、支柱と剪定で広がる範囲を決めておきます。 茶席では、花が密集しすぎていないつるを一筋選ぶと、白い十字形の花と曲線が涼やかに見えます。
「野に生えるセンニンソウを庭で育てられるのか」「どこを剪定すれば花が咲くのか」「切り花にしても水が上がるのか」。 もう一つ、忘れてはいけないのが樹液によるかぶれです。 ここでは、センニンソウの育て方、開花時期、水揚げ、茶席での使い方を、安全上の注意と合わせてまとめます。
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センニンソウ(仙人草)はどんな茶花?

センニンソウは、キンポウゲ科センニンソウ属のつる性多年草です。学名は *Clematis terniflora*。園芸で親しまれるクレマチスと同じ仲間ですが、日本各地の道ばたや林縁、日当たりのよい藪などに自生します。
長い葉柄を近くの枝や柵へ絡ませ、数メートルに伸びます。葉は対生し、一枚の葉が3〜5枚ほどの小葉に分かれる羽状複葉です。成熟した小葉の縁に鋸歯がほとんどないことが、よく似たボタンヅルと見分ける手掛かりになります。
花は直径2〜3cmほど。花弁のように見える白い部分は4枚の萼片で、十字形に開きます。枝先に多数咲き、中央には多くの雄しべと雌しべが集まります。近づくと甘い香りが感じられる花です。
花後は、雌しべの一部である花柱が白く長く伸び、羽毛状になります。その姿を仙人の白髪やひげに見立てたことから、仙人草と呼ばれるようになりました。花だけでなく、秋が深まってからの実姿にも風情があります。
- 学名:*Clematis terniflora*
- 分類:キンポウゲ科センニンソウ属
- 生活型:つる性多年草(基部は木質化します)
- 花期:7月〜9月ごろ。見頃は8月〜9月
- 花色:白
- 花の大きさ:直径2〜3cmほど
- 分布:日本全国、中国、朝鮮半島、ロシア極東など東アジア
- 生育場所:日当たりのよい林縁、道ばたの藪、草地の縁など
センニンソウは有毒植物です
別名「馬食わず」とも言い、センニンソウの茎や葉の汁は、皮膚につくとかぶれや水ぶくれを起こすことがあります。剪定、採花、水揚げでは手袋を着け、長袖で作業してください。作業後は手と道具を洗い、目や口へ触れないようにします。
食用にはしません。子どもやペットが触れたり口にしたりしやすい場所への植え付けも避けます。茶席で使う場合も、切り口は花入の中へ収め、客が直接触れない位置に飾ることが大切です。
センニンソウ(仙人草)の育て方

センニンソウの育て方で先に考えたいのは、日当たりよりも広がる範囲です。つるの生育が旺盛で、周囲の低木や草へ覆いかぶさることがあります。植え付け前に支柱を用意し、管理できる場所を選びます。
庭植えに向く植物ですが、大型の鉢でも育てられます。鉢植えでは根詰まりと水切れが起きやすいため、地植えよりこまめな管理が必要です。
置き場所と支柱
花をよく咲かせるには、日なたから明るい半日陰が向きます。真夏に根元まで強い西日が当たる場所では、株元を低い草や敷きわら、石などで覆い、根を涼しく保ちます。
フェンス、丈夫なトレリス、枝組みなど、つるを誘引できる支えを植え付け時に用意します。細いネットだけでは、数年後に重みを支えにくくなることがあります。家の雨どいや隣家の樹木へ伸びない位置を選んでください。
自然な姿を楽しむ場合でも、つるの行き先は決めます。新しいつるを横へ誘引すると、枝先が一か所に重ならず、茶花に使いやすい花枝を取りやすくなります。
用土と植え付け
水もちと水はけを両立した土を好みます。庭植えでは、植え穴を広めに掘り、掘り上げた土へ腐葉土や完熟堆肥を混ぜます。雨の後も水がたまる粘土質の場所では、軽石などを加え、少し高めに植えます。
鉢植えなら、赤玉土小粒6、腐葉土3、軽石1ほどを目安にできます。市販のクレマチス用培養土でも構いません。つるが大きくなるため、初めから深さと重さのある鉢を選ぶと倒れにくくなります。
植え付けは、芽が動き始める前の早春か、暑さが落ち着いた秋が目安です。鉢植え苗は根鉢を乱しすぎず、植え付け後にたっぷり水を与えます。
水やり
地植えは、根付いた後なら毎日の水やりは必要ありません。ただし、植え付け直後と雨の少ない真夏は、土の中まで乾く前に補います。
鉢植えは、表土が乾き始めたら鉢底から流れるまで与えます。葉が多く、開花期には水を使うため、盛夏は朝に土の状態を確認してください。受け皿へ水をため続けると根を傷めるので、余分な水は捨てます。
肥料
春に新芽が伸び始めたら、緩効性肥料を少量与えます。鉢植えで生育が弱い場合は、初夏まで薄い液肥を補います。
肥料が多すぎると、つると葉が茂りすぎて花枝が扱いにくくなります。茶花用に締まった姿へ育てたい場合は、葉色と伸び方を見ながら控えめにします。
剪定と誘引
センニンソウは、その年に伸びたつるへ晩夏の花をつける、新枝咲きのクレマチスとして扱えます。冬から早春、芽が動く前に、前年のつるを地際から30〜50cmほど残して切り戻すと、新しいつるが更新されます。
大きく育てたい場合は、すべてを同じ高さで切らず、骨格にするつるを少し長く残しても構いません。枯れた枝、細すぎる枝、絡み合った枝を外し、春に出る新芽を支柱へ分散して誘引します。
開花直前の強い剪定は、その年の花を減らします。夏は通路へ飛び出したつるや、混み合う細いつるを軽く整える程度にします。
作業時は必ず手袋と長袖を使います。切り口やつぶれた葉から出る汁を、素手で触らないでください。
植え替えと増やし方
鉢植えは、根詰まりしやすいため、2〜3年に一度を目安に一回り大きな鉢へ植え替えます。根を乾かさず、作業後は明るい日陰で落ち着かせます。
挿し木、取り木、種で増やせます。家庭では、初夏の充実した新枝を使う挿し木か、つるの一部を土へ伏せる取り木が扱いやすい方法です。こぼれ種でも増えるため、広げたくない場合は、羽毛状の実が熟す前に不要な花がらを切ります。
センニンソウ(仙人草)の開花時期

センニンソウの開花時期は、主に7月から9月です。多摩森林科学園では8月から9月、国立科学博物館の植物図鑑では7月から9月とされています。地域や標高、その年の気温で咲き始めは前後します。
晩夏には、枝分かれした花序を白い小花が覆います。花数が多い株は白い面のように見えるため、茶席用には満開の塊をそのまま切らず、蕾と咲き始めが混じる細いつるを選びます。
茶花として使いやすいのは、花序の先に蕾が残り、数輪が横や斜めを向いている頃です。真っ白な花を一方向へ並べず、つるの曲がりと葉柄の動きが見える枝を探します。
花後の羽毛状の実は、秋の深まりを表す花材になります。ただし、種が飛びやすく、白い毛が落ちることもあります。茶席へ入れる前に軽く振り、熟しすぎた実を外しておくと安心です。
センニンソウ(仙人草)の水揚げ方法

センニンソウは葉が多く、長いつるの先まで水を上げる必要があります。朝の涼しい時間に採り、すぐ水へ入れます。基本は水切りと深水です。
樹液でかぶれることがあるため、水揚げ中も手袋を外しません。使用したバケツやはさみは、食器と分けて洗います。
水揚げの手順
- 朝、蕾と咲き始めが混じり、葉に張りのあるつるを選びます。
- 手袋を着け、花入で使う長さより少し長めに切り、すぐ水へ入れます。
- 水に浸かる下葉と、花を隠す大きな葉を取り除きます。
- 水中で茎元を斜めに切り戻します。太く木質化した茎なら、切り口へ縦に浅く切れ目を入れます。
- 花序をつぶさないよう新聞紙でゆるく包み、深めの水で1〜2時間休ませます。
- 葉と花首に張りが戻ったら、手袋をしたまま花入へ移します。
つるを長く残しすぎると、先端まで水が届きにくくなります。水が上がらない場合は、まず全体を短くし、葉をもう一枚減らします。強い処理を重ねる前に、切り口を新しくする方が安全です。
切り口は花入の中へ収め、床や畳へ直接触れさせません。水替えの際も素手で茎を握らず、作業後に花入の外側と道具を拭いておきます。
茶席でのセンニンソウ(仙人草)の使い方

センニンソウは、白花を多く見せるより、つるの流れを一筋生かすと茶花らしくなります。枝先の花序が軽く横を向き、途中の葉と節が見えるつるを選びます。
花が密な部分を正面へ向けると、白い塊になりやすい植物です。正面を外れた花や蕾を残し、花序の奥に少し暗い空間が見えるよう整えると、花一輪ずつの十字形が分かります。
葉は、センニンソウらしい羽状複葉が分かる程度に残します。傷んだ葉、水に浸かる葉、花序へ重なる葉を外し、長い葉柄の動きをつるの曲線につなげます。
他の花を合わせる場合も、センニンソウの花数が多い日は一種だけで十分です。草ものを添えるなら量を抑え、白い花と穂先が同じ高さへ集まらないようにします。
合わせやすい花入
- 竹の掛花入
- 細身の籠花入
- 焼締めの筒形花入
- 小ぶりの青竹一重切
つるの曲線を見せるには、口が狭く、ある程度の深さがある花入が使いやすいです。掛花入では、花が壁へ張り付かないよう、つるの先をわずかに前へ出します。
有毒植物であることを忘れず、客が触れる高さや、水屋で食品を扱う場所には置きません。幼い子どもがいる席では使用を控える判断も必要です。
センニンソウ(仙人草)に似た花との違い

センニンソウと最も混同しやすいのはボタンヅルです。どちらも白い4枚の萼片を持つつる植物ですが、小葉の形と縁を見ると区別しやすくなります。
| 比較項目 | センニンソウ | ボタンヅル | テッセン | ハンショウヅル |
|---|---|---|---|---|
| 花の姿 | 白い4枚の萼片が十字形に開き、多数集まる | 白い4枚の萼片が開き、多数集まる | 白〜淡色の大きな萼片が平らに開く | 赤紫色の萼片が釣鐘形に垂れる |
| 葉 | 3〜5小葉の羽状複葉で、小葉の縁はほぼ全縁 | 小葉に切れ込みや粗い鋸歯がある | 3〜6小葉の複葉 | 3枚の小葉がつき、鋸歯がある |
| 主な花期 | 7〜9月 | 8〜9月ごろ | 5〜6月ごろ | 5〜6月ごろ |
| 茶席での印象 | 白い小花と長いつるが軽やか | 葉の切れ込みに野趣がある | 一輪が大きく格調がある | 下向きの花に静けさがある |
遠目では、センニンソウとボタンヅルの花はよく似ています。小葉の縁が滑らかならセンニンソウ、切れ込みや鋸歯が目立つならボタンヅルと見るのが基本です。
テッセンも同じセンニンソウ属ですが、花がずっと大きく、主な季節は晩春から初夏です。白い小花の群れとつるの線を晩夏に使いたい時は、センニンソウならではの景色になります。
センニンソウ=クレマチスの園芸種がテッセン(鉄線・鉄仙)や八重咲きのカザグルマ(風車)になります。
晩夏から初秋の茶花として一緒に使いやすい花

センニンソウと同じ頃の花を知っておくと、白い小花の量や、つると草の線を比べながら、その日の席に合う花材を選べます。
同じクレマチスの仲間で、小花の群れではなく大きな一輪を見せたい時に。

センニンソウの白い面に対し、暗紅色の小さな点で秋を見せたい時に。

つるの曲線ではなく、細い葉と穂の直線で秋風を表したい時に。

白い小花より花数を抑え、斑点のある一輪を半日陰の景色として使いたい時に。

晩夏から秋の茶花をまとめて見たい場合は、茶花の開花期一覧も参考になります。
まとめ

センニンソウは、8月から9月を中心に白い小花を咲かせる、日本のつる性多年草です。日なたから明るい半日陰へ植え、丈夫な支柱へ誘引します。根元を乾かしすぎず、冬から早春に古いつるを切り戻すと、毎年の姿を整えやすくなります。
茶席では、満開の白い塊をそのまま使わず、蕾と咲き始めが混じるつるを一筋選びます。水切りと深水で休ませ、花と葉に張りが戻ってから花入へ移します。
茎や葉の汁は皮膚炎を起こすことがあります。採花、剪定、水揚げでは手袋と長袖を使い、切り口を花入の中へ収めてください。
白い十字形の小花、長い葉柄、風にほどけるつるの線。その三つを見せすぎずに残すと、夏の終わりから秋へ移る気配を静かに伝えられます。

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